クリニックにWEB予約を導入したい。でも調べてみると、予約システムは数十種類もあり、どれが自院に合うのか判断がつかない——そんな先生は多いのではないでしょうか。
予約システムは一度導入すると切り替えにコストがかかるため、最初の選定が重要です。この記事では、クリニックで導入実績の多い主要8社を取り上げ、機能・連携・料金・診療科との相性の観点から比較します。
「うちのクリニックにはどれが合うのか」が見えてくる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
予約システム選びで押さえる3つのポイント
比較に入る前に、予約システムを選ぶ際の判断軸を整理しておきましょう。
予約方式の違いを理解する
予約システムには大きく3つの方式があり、診療スタイルによって合う方式が異なります。
- 順番予約: 来院順に番号を発行し、順番に診察する方式です。「あと◯人」が患者さんにわかるため、待合室で長時間待つ必要がなくなります。診察時間が読みにくい小児科や耳鼻咽喉科に向いています
- 時間予約: 「10:00〜」「10:15〜」のように時間枠を指定する方式です。患者さんの予定が立てやすく、心療内科やオンライン診療と相性がよい方式です
- 時間帯予約: 「10:00〜10:30」のように幅のある枠に複数人を割り当てる方式です。順番予約と時間予約の中間的な運用ができ、内科など幅広い診療科で使いやすい方式です
多くの予約システムは複数の方式に対応していますが、どの方式に強みがあるかはシステムごとに異なります。
電子カルテとの相性を確認する
予約システムには、特定の電子カルテと一体型のものと、カルテを選ばず単独で導入できるものがあります。
- 一体型(デジスマ診療、CLINICS): カルテ・予約・問診・決済がすべてつながるため、業務効率は高い。ただし、すでに別のカルテを使っている場合は乗り換えが必要になる
- 単独導入型(ドクターキューブ、メディカル革命など): 今お使いのカルテをそのまま使いながら予約システムだけ追加できる。導入のハードルが低い
新規開業でカルテもこれから選ぶ場合は一体型、すでにカルテが決まっている場合は単独導入型が選びやすいでしょう。
患者さんの使いやすさを考える
システムによって、患者さん側の利用方法も異なります。
- ブラウザ完結型: アプリのダウンロード不要で、スマホのブラウザからすぐに予約できる。高齢の患者さんが多いクリニックでもハードルが低い
- アプリ型: 専用アプリで予約・問診・決済まで完結できる。リピート患者には便利だが、初回のダウンロードがハードルになることも
- LINE対応型: 普段使っているLINEから予約や順番確認ができる。アプリのダウンロード不要で、通知も届きやすい
自院の患者さんの年齢層やITリテラシーに合った方式を選ぶことが大切です。
8社の特徴と向いているクリニック
ドクターキューブ — 導入実績No.1の老舗
運営: ドクターキューブ株式会社 / 導入実績: 約6,000件以上 / サービス開始: 2002年〜
順番予約・時間予約・時間帯予約の3方式すべてに対応し、組み合わせ運用も可能です。「午前は順番予約、午後は時間予約」といった柔軟な設定ができます。電子カルテとの連携実績も豊富で、ORCA・Medicom・HOPE・Dynamicsなど主要カルテに幅広く対応しています。
予約方式: 順番予約 ◎ / 時間予約 ◎ / 時間帯予約 ◎
- 電子カルテ: 幅広く対応(ORCA, Medicom, HOPE, Dynamics等)
- WEB問診: 外部連携(シムビュー、メルプ等)
- オンライン診療: 非対応
- LINE: 対応
患者さんの利用方法: 専用アプリあり。ブラウザからも利用可能
料金: 現在、各社に問い合わせ中です。情報が入り次第、更新いたします。
こんなクリニックにおすすめ
複数の予約方式を柔軟に使い分けたいクリニック。実績と安定感を重視する先生に向いています。
アイチケット — 順番予約と待ち時間の見える化に特化
運営: アイチケット株式会社 / 導入実績: 約5,000件以上 / サービス開始: 2002年〜
「あと何人」「あと何分」をリアルタイムで患者さんに表示できるのが最大の強みです。順番予約に特化しており、当日の順番受付をWEB・電話自動応答(IVR)から行えます。「iTICKET Smart」プランでは時間予約にも対応しています。
予約方式: 順番予約 ◎ / 時間予約 △(Smartプラン)
- 電子カルテ: ORCA連携あり、他は個別確認
- WEB問診: 外部連携(メルプ、Ubie等)
- オンライン診療: 非対応
- LINE: 対応(順番通知・受付)
患者さんの利用方法: ポータルアプリあり。ブラウザからも利用可能
料金: 現在、各社に問い合わせ中です。情報が入り次第、更新いたします。
こんなクリニックにおすすめ
順番予約メインで運用し、待ち時間を見える化して患者満足度を上げたいクリニック。小児科・耳鼻咽喉科・皮膚科に特に実績があります。
デジスマ診療 — カルテ・予約・問診・決済がオールインワン
運営: エムスリーデジカル株式会社(エムスリーグループ) / 導入実績: 非公開(エムスリーデジカル全体では数千規模) / サービス開始: 2022年〜
エムスリーデジカルの電子カルテと一体で動く予約システムです。予約・WEB問診・オンライン診療・キャッシュレス後払い決済がすべて内蔵されており、患者さんは診察後にアプリで自動決済されるため会計待ちゼロを実現できます。
予約方式: 順番予約 ○ / 時間予約 ○ / 時間帯予約 ○
- 電子カルテ: エムスリーデジカル専用(他社カルテとは連携しない)
- WEB問診: 内蔵
- オンライン診療: 内蔵
- LINE: 対応
- 決済: キャッシュレス後払い内蔵
患者さんの利用方法: 専用アプリ「デジスマ」が主要導線。アプリのダウンロードが必要
料金: 現在、各社に問い合わせ中です。情報が入り次第、更新いたします。
こんなクリニックにおすすめ
新規開業や電子カルテの乗り換えを検討中で、予約・問診・決済をまとめて一つのシステムに揃えたいクリニック。会計待ちの解消を重視する先生に向いています。
メディカル革命 — 複雑な予約運用に強い万能型
運営: 株式会社GMO医療予約技術研究所(GMOグループ) / 導入実績: 累計数千件規模 / サービス開始: 2010年〜
予約方式の柔軟さが最大の強みです。3方式すべてに対応するだけでなく、予防接種の在庫管理やワクチン種別ごとの予約枠設定など、特殊な予約パターンへの対応力が高いシステムです。キャンセル待ち機能も搭載しており、空き枠を自動で次の患者さんに通知します。電子カルテを選ばず導入でき、LINEミニアプリ連携にも対応しています。
予約方式: 順番予約 ◎ / 時間予約 ◎ / 時間帯予約 ◎
- 電子カルテ: 幅広く対応(ORCA, CLIUS, Medicom, HOPE等)
- WEB問診: 外部連携(Symview等)
- オンライン診療: 対応
- LINE: 対応(LINEミニアプリ含む)
- 決済: GMO-PG連携
患者さんの利用方法: アプリ不要のブラウザ完結型。LINEからの予約も可能
料金: 現在、各社に問い合わせ中です。情報が入り次第、更新いたします。
こんなクリニックにおすすめ
予防接種・健診・通常診療など複数の予約パターンを使い分けたいクリニック。小児科・産婦人科で特に強みを発揮します。
CLINICS(クリニクス) — オンライン診療の先駆者
運営: 株式会社メドレー(東証プライム上場) / 導入実績: 数千施設規模 / サービス開始: 2016年〜
オンライン診療プラットフォームとしてスタートし、予約・問診・電子カルテまで機能を拡張してきたサービスです。対面とオンラインの予約を一元管理でき、ビデオ通話での診察、薬の配送手配までアプリ内で完結します。ただし順番予約には非対応で、時間予約のみの運用になります。
予約方式: 順番予約 ✕ / 時間予約 ◎
- 電子カルテ: CLINICS電子カルテ専用
- WEB問診: 内蔵
- オンライン診療: 中核機能として内蔵
- LINE: 非対応(アプリ中心)
- 決済: オンライン診療時のカード決済対応
患者さんの利用方法: 専用アプリ「CLINICS」が必要
料金: 現在、各社に問い合わせ中です。情報が入り次第、更新いたします。
こんなクリニックにおすすめ
オンライン診療を本格的に取り入れたいクリニック。心療内科・精神科・内科で、時間予約型の運用をしたい先生に向いています。新規開業でカルテごと揃えたい場合にも。
3Bees(スリービーズ) — 問診内蔵+LINE完結で手軽に導入
運営: 株式会社3Bees / 導入実績: 数百〜千施設規模 / サービス開始: 2013年〜
順番予約・時間予約・時間帯予約のすべてに対応しながら、WEB問診「Bee問診」を内蔵しているのが特徴です。患者さんは専用アプリのダウンロード不要で、LINEから予約・順番確認が完結します。アプリのインストールを患者さんに求めなくてよい点は、高齢の患者さんが多いクリニックにとって大きなメリットです。
予約方式: 順番予約 ◎ / 時間予約 ◎ / 時間帯予約 ◎
- 電子カルテ: ORCA連携可
- WEB問診: 内蔵(Bee問診)
- オンライン診療: 非対応
- LINE: 対応(予約・順番確認がLINEで完結)
患者さんの利用方法: アプリ不要。ブラウザ+LINEで完結
料金: 現在、各社に問い合わせ中です。情報が入り次第、更新いたします。
こんなクリニックにおすすめ
順番予約を軸に、問診もまとめて導入したいクリニック。患者さんにアプリをダウンロードさせたくない、LINEで手軽に使ってもらいたい先生に向いています。
ヨヤクル — シンプルに始められる順番予約
運営: 株式会社ヨヤクル / 導入実績: 非公開(中小規模中心に数千件と推定) / サービス開始: 2013年〜
順番予約・時間予約・時間帯予約に対応し、院内の順番表示モニターとの連動もできるシステムです。患者向けアプリは診察券代わりにもなり、複数のクリニックの予約を一つのアプリで管理できます。基本的な予約機能をシンプルにまとめており、初めて予約システムを導入するクリニックでも始めやすい設計です。
予約方式: 順番予約 ◎ / 時間予約 ○ / 時間帯予約 ○
- 電子カルテ: 一部対応(詳細は要確認)
- WEB問診: 外部連携
- オンライン診療: 非対応
- LINE: 対応(順番通知)
患者さんの利用方法: 専用アプリあり(診察券機能つき)。ブラウザからも利用可能
料金: 現在、各社に問い合わせ中です。情報が入り次第、更新いたします。
こんなクリニックにおすすめ
初めてWEB予約を導入する、地域密着型のかかりつけクリニック。シンプルな順番予約から始めたい先生に向いています。
EPARK — ポータルの集患力が強み
運営: 株式会社EPARKメディカル / 導入実績: グループ全体で数万施設以上 / サービス開始: 医療向け2015年〜
飲食・美容・医療など多ジャンルの予約ポータルを運営するEPARKの医療版です。最大の特徴はポータルサイトからの集患力。EPARKのサイトやアプリで「地域名+診療科」を検索した患者さんが、そのまま予約してくれる導線があります。WEB問診やオンライン診療にも対応しており、機能面も充実しています。
予約方式: 順番予約 ○ / 時間予約 ◎
- 電子カルテ: ORCA連携あり
- WEB問診: あり(EPARKデジタル問診)
- オンライン診療: 対応
- LINE: 対応
- 決済: EPARKペイメント連携
患者さんの利用方法: EPARKアプリ(利用者数が多い)。ブラウザからも利用可能
料金: 現在、各社に問い合わせ中です。情報が入り次第、更新いたします。
こんなクリニックにおすすめ
新規患者の獲得を重視するクリニック。開業間もなく知名度を上げたい場合に、ポータルからの流入が期待できます。
EPARKの注意点
EPARK上には近隣の競合クリニックも表示されるため、自院のページから他院に流れる可能性があります。また、EPARKの掲載ページがクリニック自身のHPと検索結果で競合することがあります。診療時間などの情報をHP・EPARKの両方で管理する必要があり、更新漏れのリスクにも注意が必要です。
一目でわかる機能比較表
料金については現在各社に問い合わせ中です。情報が入り次第、この記事に追記いたします。
診療科別おすすめシステム
「結局、うちの診療科にはどれが合うの?」という先生のために、診療科別のおすすめをまとめました。
小児科
おすすめ: ドクターキューブ、メディカル革命、3Bees
小児科は診察時間が読みにくく、順番予約との相性が良い診療科です。加えて、予防接種の予約管理が重要になります。メディカル革命はワクチン種別ごとの在庫管理・予約枠設定が充実しており、予防接種の予約が多いクリニックには特に向いています。
耳鼻咽喉科・皮膚科・眼科
おすすめ: アイチケット、ドクターキューブ、3Bees
予約なしの来院が多く、順番予約がメインになる診療科です。アイチケットは待ち時間のリアルタイム表示に特化しており、「あと何分」が見えることで患者さんの不満を大幅に減らせます。
内科(一般)
おすすめ: ドクターキューブ、3Bees、メディカル革命
一般内科は順番予約と時間予約を併用するケースが多い診療科です。ドクターキューブは3方式すべてに対応し、午前・午後で方式を変えるなどの柔軟な運用が可能です。
心療内科・精神科
おすすめ: CLINICS
完全予約制で1人あたりの診察時間が長い心療内科・精神科には、時間予約型のCLINICSが合います。オンライン診療との併用がしやすく、通院が難しい患者さんへの対応も可能です。
産婦人科
おすすめ: メディカル革命
妊婦健診・通常診療・検査など、予約パターンが複雑になる産婦人科には、柔軟な予約枠設定ができるメディカル革命が向いています。
新規開業(カルテ未定)
おすすめ: デジスマ診療、CLINICS
これから開業する場合は、電子カルテ・予約・問診・決済をまとめて導入できる一体型が効率的です。デジスマ診療は会計待ちゼロの仕組みが患者満足度につながり、CLINICSはオンライン診療を組み込みたい場合に強みがあります。
まとめ
クリニックの予約システム選びで大切なのは、①自院の診療スタイルに合った予約方式に強いシステムを選ぶこと、②すでにカルテがあるなら単独導入型、新規開業なら一体型も選択肢にすること、③アプリ必須かブラウザ完結かLINE対応か、患者層に合わせて判断すること——の3つです。導入後に「合わなかった」とならないよう、まずは自院の診療スタイルと患者層を整理したうえで、2〜3社に絞って比較検討されることをおすすめします。予約システムと連携したクリニックHPの制作についても、お気軽にお問い合わせください。