予約の 電話48%、 ネットで 予約した客は 82%
「予約の
タイトルの48%は、正確には48.6%です。「予約の入り口でいちばん多いのは電話」と答えたお店の割合を指します。シンクロ・フードが2024年1月、飲食店375店に行った「飲食店の予約管理に関するアンケート調査」の数字です。
82%は、お店ではなくお客さま側の数字です。飲食店を予約したことがある人のうち、ネット予約を使ったことがある人の割合です。リクルートのホットペッパーグルメ外食総研が2023年11月、三大都市圏の9,808人に聞きました(複数回答)。
お店の窓口は、いまも電話が主役。お客さまの多数派は、ネットでの予約に慣れている。このすれ違いは、店主さんの努力不足で起きているのではありません。営業中は電話に出られないという、仕組みの話です。順番に確かめていきます。
ふたつの 数字は、 測っている ものが 違います
| 48.6% | 82.0% | |
|---|---|---|
| 何の割合か | 「最も多い予約経路は電話」と答えたお店 | ネット予約を使ったことがある人 |
| だれに聞いたか | 飲食店375店(1店舗のみの運営が70.4%・首都圏68%) | 飲食店の予約経験がある9,808人(三大都市圏・複数回答) |
| 調査 | シンクロ・フード(2024年1月) | リクルート ホットペッパーグルメ外食総研(2023年11月) |
行った会社も、聞いた相手も、時期も別の調査です。ですから、2つの数字を足したり引いたりはできません。それでも、向きの違いは読み取れます。お店側の調査は、読者の皆さんと同じ1店舗運営のお店が7割を占めます。回答したお店の半数近くで、予約はまず電話から入ってくるのです。2位のグルメサイトは29.6%でした。
ひとつ補足します。82.0%は、実際に使ったことがあるという利用経験の数字です。その分、希望を聞いただけの数字より足取りは確かです。
同じお客さま側の調査では、電話で予約した人も48.0%いました。複数回答ですから、合計は100%を超えます。両方を使い分けている人が、かならずいる計算です。
電話予約が 続いてきたのには、 理由が あります
電話には、いまでも他の窓口にない強みがあります。道具の準備がいりません。かかってきたその場で、席の空き具合を見ながら答えられます。「4人だけど席をつなげられますか」のような相談にも、電話を切らずに応じられます。常連のお客さまなら、声だけで分かります。
同じ店側の調査では、お客さまの管理を紙の予約台帳でしているお店が43.7%で最多でした。電話で受けて、台帳に書き込む。この組み合わせは、道具代ゼロで回る、それだけで完結した仕組みです。半数近いお店で電話が最多なのは、怠慢ではありません。長いあいだ、それがいちばん理にかなった方法だったからです。
すれ違いの 正体は、 営業中に 電話へ 出られない ことです
電話予約の弱点は、ひとつだけです。電話が鳴る時間と、お店が忙しい時間が、ほぼ重なっていることです。
仕込みの最中は手が離せません。ピークの時間帯は、接客と調理で手いっぱいです。ワンオペや家族経営のお店なら、なおさらです。鳴っているのは分かっているのに、出られない。営業中のお店で「電話に出る」は、どうしても後回しになる仕事です。
一方、お客さまが予約を思い立つのは、お店の外の時間が少なくありません。昼休みに今夜のお店を探す。家に帰ってから、週末の集まりの人数が決まる。電話だけが窓口だと、その気持ちを受け止められるのは「営業中で、たまたま手が空いていた瞬間」だけになります。
82.0%という数字が示すのは、お客さまの側の慣れです。電話がつながる瞬間を待たなくても、予約はできる。多くの人が、その便利さをすでに知っています。48.6%と82.0%のすれ違いの根っこは、窓口が営業時間に縛られていることにあります。
電話を やめる 話では ありません
ここまで読んで、「電話をやめてネットに切り替える話か」と身構えたかもしれません。そうではありません。お客さま側の調査でも、電話で予約する人は48.0%いました。電話の窓口を閉じれば、その方たちを締め出してしまいます。
考え方は「置き換え」ではなく「追加」です。電話はいままでどおり残す。そのうえで、営業中に出られない時間の予約を拾う窓口を、ひとつ足す。グルメサイトのネット予約でも、LINE公式アカウントでも、予約システムでも構いません。どれが合うかは、お店の客層と予算しだいです。
急がなくていいお店もあります。店側の調査で予約を受け付けているお店は85.6%で、全部ではありません。当日ふらっと入るお客さまが中心のお店や、常連のお客さまの電話だけで席が埋まるお店なら、窓口を増やす理由は薄くなります。
出られなかった 電話を、 1週間だけ 数えてみる
よその調査より確かな数字が、ひとつだけあります。自分のお店で、営業中に出られなかった電話の数です。
レジ横にメモを置いて、1週間だけ、出られなかった着信を正の字で数えてみてください。ゼロに近ければ、いまの電話だけで受け止められています。急いで変える必要はありません。毎日のように数本あるなら、話は変わります。48.6%と82.0%の、あのすれ違いが自分のお店でも起きているということです。
数えた結果がどちらに転んでも、損はしません。判断の物差しが、自分のお店の数字になるからです。
出典
- シンクロ・フード「飲食店の予約管理に関するアンケート調査」(2024年1月・N=375)(2026.07.30確認)
- リクルート ホットペッパーグルメ外食総研 プレスリリース(2023年11月・N=9,808・三大都市圏)(2026.07.30確認)