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予約システムの費用

Airレジもレストランボードも0円、始める前に知りたいお金の

Airレジもレストランボードも、本当に0円で使えます。ではリクルートは何で儲けているのか。ネット予約手数料の歴史、ポイントの仕組み、やめるとき手元に残らないものまで、公式資料で確認できる範囲で書きました。

Airレジも、レストランボードも、本当に0円で使えます。公式サイトにも「基本レジ機能は0円」「基本料金0円」と書いてあります。

うたい文句に嘘はありません。ただ、このお金の話には続きがあります。

0円で始めたお店が、そのあと何に、いくら払うことになるのか。この記事では、公式ページと公開資料で確認できる範囲だけで、その続きを書きます。

0円なのは、もうかる仕組みが別にあるから

Airレジは無料のレジアプリ、レストランボードは無料の予約台帳です。どちらもリクルートが提供しています。ホットペッパーグルメでネット予約を受けるには、レストランボードを使う決まりです。

リクルートは上場企業なので、経営の説明が公開されています。決算資料にはこう書いてあります。「Air ビジネスツールズの売上収益は、販促領域に含まれます」。Air ビジネスツールズは、AirレジやレストランボードなどのAir系サービスの総称です。

レジや台帳そのものは、もうけの場所ではない、ということです。決算の区分では、Air系の売上は販促の領域にまとめられ、経営説明の場では、その売上の多くは決済(Airペイ)まわりだと説明されています。無料で広く配って、別の場所で回収するやり方を、フリーミアムと呼びます。同じ場で、多くのサービスを「フリーミアムでお客様に提供」しているとも、はっきり語られています。

隠された話ではなく、公式に説明されている事業の形です。悪い仕組みだとも思いません。ただ、0円で入る側も、この形を知ってから入るほうがいい。この記事はそのための話です。

レジも予約も決済も、Airの中でつながる

Air系のサービスは、レジと予約台帳だけではありません。決済のAirペイ、シフト管理のAirシフト、順番待ちのAirウェイト、経営分析のAirメイト、資金調達のAirキャッシュ。お店の業務のほぼ全部に、Airの名前の付いたサービスがあります。

そして、これらはつながっています。ホットペッパーの予約はレストランボードに入り、会計はAirレジに流れ、決済はAirペイ。その決済の売上をもとにした資金調達(Airキャッシュ)まであります。便利です。ひとつ入れると、次をつなげたくなるようにできています。

Air系サービスの連携図。ホットペッパーの予約がレストランボード、Airレジ、Airペイ、Airメイトへつながり、店のデータがその中に貯まる。ほかにAirシフトやAirキャッシュなどもある
飲食店でよく使われる組み合わせ。予約・売上・顧客のデータが、この一連の中に貯まっていきます。

無料のレジや台帳は、いつでもやめられます。ただ、予約も売上も顧客の記録も同じ場所に貯まったあとで、一つだけ抜くのは簡単ではありません。抜けにくくなる方向に、業務が組み上がっていく設計です。

予約の手数料は、2020年にあとから生まれた

ホットペッパーグルメのネット予約は、2012年に始まりました。掲載自体は無料のプランがあり、長いあいだ、予約で店が払うのは、お客さまに付くポイントのぶんのお金(原資)だけでした。1人あたりランチ10円、ディナー50円です。

2020年9月、ここに「ネット予約手数料」が新しく加わりました。ランチ40円、ディナー150円(税抜)。消費税は手数料にだけかかり、ポイントの原資にはかかりません。合わせると、いまはディナー1人あたり税込215円、ランチ54円です。課金の対象は、ネット予約で来店した人数分です。

ホットペッパーグルメの店側負担の年表。2012年のネット予約開始から2020年8月まではポイント原資のみで1人10円から50円、2020年9月に手数料が新設され、以降は合計で1人54円から215円(税込)
店側の負担の移り変わり。手数料は、あとから加わりました(2026年7月31日確認)。

そして公式ページには、いまもこう書いてあります。「ネット予約手数料は単価が変動する可能性があります」。変更は、適用の1ヶ月前までにメールで通知される決まりです。0円も単価も、ずっとそのままである約束はどこにもありません。

手数料は、常連さんの分まで積み上がる

ネット予約でお客さまに付くポイントは、次のホットペッパーグルメ経由の予約で使えます。だからポイントを貯めているお客さまは、常連さんになっても、ホットペッパー経由で予約を入れ続けます。そのたびに、お店は払います。

ディナー3人で1組なら、税込645円。月に30組なら19,350円。1年なら23万円を超えます。新しいお客さまを連れてきてくれた予約なら、それは集客の対価です。重くなるのは、常連さんの分まで同じ単価で払い続けるときです。

新潟の実店舗の1ヶ月の予約29組68人を、この単価で換算した記事があります。月14,459円でした。月30組の例より安く見えるのは、1組あたりが平均2.3人と少なめで、ランチの予約も混ざっているからです。

1人215円が月にいくらになるか、実データで換算しています。換算の記事を読む →

やめるとき、手元に残らないもの

使うほど、予約の履歴も顧客台帳も売上も、リクルートのサービスの中に貯まっていきます。知っておきたいのは、やめるときに何を持ち出せるかです。

予約のリストは、CSV(表計算ソフトで開ける形式)で書き出せます。ただし書き出せる項目は公式に22個と決まっていて、その中にお客さまの名前と電話番号はありません。顧客台帳を丸ごと書き出す機能は、公式ヘルプに記載を見つけられませんでした。姉妹サービスのAirレジには「登録している顧客情報のダウンロードはできません」と明記されています。

口コミと店舗ページも、お店の自由にはなりません。書き込まれた口コミを、書いた人の許諾なく審査・修正・削除したり、ほかの媒体で使ったりできるのはリクルート側です。契約が終わったあともお店の情報の掲載を続けられる、とも約款に定められています。データの保存は「事業者の自己責任」で、アカウントを削除すると復旧できません。

公平のために書くと、契約の縛りはありません。ネット予約プランに最低契約期間はなく、レストランボードはやめる手続きすら不要です。Airレジをレジとしてだけ使い、ネット予約を受けないなら、手数料もかかりません。縛るのは契約ではなく、ポイントとデータの仕組みのほうです。

これはリクルートだけの話ではありません

食べログにも、無料の予約台帳(食べログノート)と無料の受発注サービス(食べログ仕入)があります。無料の道具で日々の業務を支えて、予約の従量で回収する。この形は業界に共通しています。

公正取引委員会も、2020年の調査報告でこの業界を取り上げました。グルメサイト各社の送客手数料の収入は、2016年の55億円から2018年には142億円へ増えています。

だから「リクルートだけがずるい」という話ではありません。0円の裏に回収の仕組みがあるのは、この業界の標準です。あるのは、知らずに入るか、知って選ぶかの違いだけです。

始める前に、確認したいことは3つ

  • 総額——単価ではなく「単価×月の予約人数×12ヶ月」の年額で見る
  • 出口——顧客情報や予約の履歴を、やめるときに持ち出せるか契約前に聞く
  • 変更——単価や条件があとから変わるときの通知ルールを確認する

この3つを確認して、納得してから入るなら、0円のツールは強い道具です。急いで決める理由は、どこにもありません。すでに使っているお店も、毎月の請求と、予約リストのCSVをいちど見てみてください。

いまは、定額という選択肢もあります

お客さまの店探しも変わってきています。2026年の3,000人調査では、店探しの情報源はGoogle検索が64.7%で最多でした。グルメサイトが入り口、という時代ではなくなりつつあります。

そして、送客手数料のかからない定額型の予約システムがいくつも育っています。TableCheckは2024年に導入1万店を超えました。トレタ、ebicaという選択肢もあります。多くは料金が見積もり制なので、検討するときは、月額と初期費用を最初に確認してください。

定額型を導入すると実際に何が起きるかは、実店舗の導入の一部始終を書いた記事があります。

あるお店の導入で決めたことを、実際の画面つきで最初から最後まで見せています。導入の実例を読む →

まとめ

  • Airレジもレストランボードも本当に0円で、回収は決済や販促などAir全体の側にあります
  • ネット予約の手数料は2020年9月に生まれ、単価は変わる可能性が明記されています
  • ポイントの仕組みで、常連さんの予約にも1人215円(税込・ディナー)を払い続けます
  • 顧客台帳を丸ごと持ち出す公式の手段は、確認できませんでした
  • 始める前に「総額・出口・変更」の3つを確認してください

知ってから選んだ0円は、良い道具です。知らずに始めた0円が、高くつきます。

出典